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2021年6月24日発売LP『ひばりジャズを歌う(1965) ナット・キング・コールをしのんで』【LP盤】

幻のアナログ盤ジャズアルバム2作品が復刻発売決定!

「ひばりジャズを歌う」「ひばりとシャープ」  6/24の命日に同時リリース

アナログ盤による美空ひばり名盤復刻シリーズ

『ひばりジャズを歌う(1965)ナット・キング・コールをしのんで』【LP作品】

美空ひばりの1960年代の貴重なジャズアルバム2作品が、ひばりの命日であり、今年で33回忌となる6月 24日にアナログ盤として復刻発売されることが決定した。両作品共に2008年と2006年にそれぞれLP作品と して復刻されているが、リリース後に即完売し今では入手困難となっているため、再復刻を望むファンから の強い要望に応えリリースを決定。 美空ひばりは日本の流行歌手として1954年に最初にLPアルバムを制作した歌手であるが、今回復刻され るのは1961年に発売の全曲外国曲の日本語カバーアルバム「ひばりとシャープ」と1965年に発売のナッ ト・キング・コールを偲んだアルバム「ひばりジャズを歌う」の2作品だ。

「ひばりジャズを歌う」は英語と日本語の歌詞がほぼ半分ずつという構成で、「ラヴ」や「魅惑のワル ツ」などCMソングとして使用された楽曲も多く収録され、ジャズ好きにも歌謡曲好きにも両方に楽しめる 作品となっている。

「ひばりジャズを歌う」【LP作品】(オリジナル:1965年リリース)
A-1.スターダスト
A-2.ラヴ
A-3.魅惑のワルツ
A-4.歩いて帰ろう
A-5.トゥ・ヤング
A-6.ペイパー・ムーン
B-1.恋人よ我に帰れ
B-2.プリテンド
B-3.月光価千金
B-4.慕情
B-5.ロンリー・ワン
B-6.夕日に赤い帆

品番:COJA-9418
定価:4,400(税込)
2021年6月24日発売

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シェラック製の78回転のSP盤から、塩化ビニールのLPとEPへと音楽再生メディアが移行していったのは1950年代のことだ。LPレコードが市場に登場したのは1948年だった。その後1960年ごろまで、SP、LP、EP(45回転の7インチ盤)が平行して市場に出回っていた。

SPは主に鉄か竹の針で再生された。音源はもとより再生音もモノーラルだ。LP、EP

は先端にサファイアやダイアモンドのついた細い針で音盤に刻まれた溝をトレースしその溝の波形から伝わる振動を電気信号に換えて再生する。再生音は電気増幅が基本だ。増幅装置の改変によって様々な再生音を得ることができる。ステレオ録音再生もそうした装置の変化の中で案出されたものだ。

現在ではステレオ録音であることは標準的なものであるが、その始まりは1930年代の中頃だった。再生音盤として市場に登場したのは1958年だった。しかしすぐに一般に広まったわけではない。再生装置はそれなりに高価だったこともあり、ステレオ再生が一般化していくのは1960年代の中頃からだ。世界各国それぞれ状況は異なるが、日本では1965年頃まではモノーラル主体で、人気歌手や音楽家の場合、アルバムはモノーラルとステレオの両方が制作/販売されることがめずらしくなかった(シングル盤は65年頃までモノーラルが多かった)。

美空ひばりは、日本人歌手として最初に塩化ビニールのLPアルバムを制作した人である。1954年2月発売の『ひばりのヒット・ソング集』がそれである。まだSPが市場の中心だった時代のため、LPの再生装置はたいへん貴重で高額なものだったこともあり、このアルバムは当時極限られた人の手に渡ったにすぎなかった。いわゆるレア盤である。これを”ファースト・アルバム”とすると、“セカンド”はいつのリリースか、というと実に、4年後、1958年5月のことだった。『ひばりのマドロスさん』である。この4年間こそが塩化ビニール盤苦闘の時代と考えられる。もちろんこのふたつはモノーラル盤である。ちなみに、この『ひばりのマドロスさん』は予想以上に反響があったようで、さすがは美空ひばり、つづくアルバムは、おそらく日本の歌謡史上初と思われるライヴ録音LP『ひばりの花絵巻』だった。

昭和20〜30年代の美空ひばりは日本のレコードの歴史における最先端の実験の担い手だったのだ。

広く大衆からの支持を得ている大の人気者であったから、というのはもちろんのこと、美空ひばりの歌唱の美しさ力強さ正確さ歯切れのよさは”実験”の成果を計るために大変有効だったのではないか、と考えることができる。

明朗で曖昧さがなくレンジが広い。美空ひばりの歌声の堂々たる存在感、音楽的技術の高さ、かててくわえてリズム感の鋭さは抜きんでている。録音技術の創意工夫をわかりやすく映し出してくれる頼もしい存在、それもまた美空ひばりならではのものだった。

本作は1965年に発表された、美空ひばりによるジャズのスタンダード集である。英語と日本語の歌詞がほぼ半分ずつという構成で、ジャズ好きにも歌謡曲好きにも、両方に楽しめる作品ではないかと思う。演奏は、おなじみ、原信夫とシャープス・アンド・フラッツである。

サブタイトルにあるように、ナット・キング・コールがレパートリーとしていた曲を中心に構成されている。いわゆるジャズというよりも、コロムビア・ストリングスが華麗な演奏をくりひろげる「トゥ・ヤング」のようなロマンチックなナンバーもある。山屋清の編曲が素晴らしい。アナログ盤で聴くとこのストリングスが実に豊潤に感じられる。ほとんどエレクトリックな楽器がないせいもあるのか、楽器同志が対立せず、それぞれの楽器が美しく同居している。すっきりしているのに艶々している。「恋人よ我に帰れ」の金管楽器と木管楽器のステレオ感の清々しさは格別であるが、全体の音の溶け合い具合、美空ひばりの歌との一体感は特別な感情を喚起する。今回新たにオリジナル・マスター・テープからカッティング・マスターを制作したわけだが、56年前の録音が瑞々しく保全されていることに改めて驚いた。

現在のような至便性に富んだ録音など想像もつかない時代に、レコーディング・エンジニアは音楽の、演奏の、歌唱の、何をどうとらえようとしていたのか、それを夢想するのにこれほどふさわしい音盤があるだろうか。多重録音が極めてめずらしい環境であったことは認識しておきたい。スネア・ドラムやボンゴやコンガの打音とクラベスの絶妙な距離感が、フルート、ピアノ、ミュート・トロンボーンとあいまって妖しい空間が生み出されている「ロンリー・ワン」に、おもわずスピーカーに向かって、「お見事!」と声を掛けてしまった。

2021年5月 湯浅学

 

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